ぬくもり
「ぱーぱ?」



優が首を傾けながら、泣いている司の涙をまた小さな手で拭っている。



司と優は、あの日ここから始まったよね。



私が初めて司の涙を見たあの日…


あの日も優が、その小さな手で司の涙を拭いていたね。




1番小くて、1番傷ついた優が、一生懸命にパパとママを繋ぎあわせてくれたんだね。



ありがとう…優。




「美沙、俺…別れた…くないっ…」



私は、黙ったまま何度も頷き、涙を流し続けた。




私も、司も、溢れ出る涙で話をする事すらできない。



でも、今私達の気持ちは全く同じものだった。


1番離れたところにあったはずの私と司の気持ちが、今はぴったりと重なりあっていた。




私達は、どちらからともなく手を握り合って、お互いのぬくもりを確かめあう。

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