ぬくもり
バスルームから音がする。


司があがったんだ。


私は急いでレシートを財布に戻し、元通りの場所にいれ、ベッドに潜り込む。



「美沙?どした?
具合でも悪い?」


ベッドに潜り込んでる私を見て司が近づいてくる。


「ちょっとフラフラするの。」



「大丈夫か?風邪?熱は?」


司は心配そうに、私のおでこを触って熱くないか確かめようとする。



「触らないで!」


叫ぶように言い放ち司の手を払いのける。


司はそんな私に驚き呆然と立っている。


「ごめん。
本当に大丈夫だから。
ちょっと、疲れてるだけなの。」



「そっか。
お腹に子供いるんだから無理すんなよ。
ゆっくり休みな。」



司は私に優しい笑顔をむけ、いつものように私の頭をクシュクシュ撫でて部屋を出ていく。



ねぇ司、いつもその優しい笑顔で私を騙してたの?



声をだすと司に聞こえてしまう。


私はベッドの中で、布団の端をきつく噛み締めながら、声を殺して泣いた。



どれくらい泣いていたのか、私は泣きながら眠ってしまった。



目を覚ますと、横で司が寝息をたてていた。



いつもと何も変わらない司の寝顔。



そっとベッドを抜け出し、リビングのソファーにぼんやりと座り込む。

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