ぬくもり
「美沙?」

司が驚いて立ち尽くしている。


「痛っ!痛い…」


私は、また陣痛の痛みで、その場にしゃがみ込む。


「井上さん、大丈夫?
立てる?
ベッドに戻ろう。」


司と看護婦さんに支えられ、ベッドに連れ戻される。


「井上さんのご主人ですか?」

「あ、はい。」



「奥さん、初めての出産で不安になってるみたいだから、側に居て励ましてあげて下さいね。
陣痛つらいみたいだからさすってあげて下さい。」


司が来ておとなしくなった私を見て、ホッとして看護婦さんは部屋を出て行った。

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