ぬくもり
「やっぱり、産みたいよねぇ?」


司は少し俯きながら、上目づかいで私の顔色を伺っている。


「え?何それ、どうゆう事?」



明らかにおかしい態度の司に、私の不安が募る。



「いやぁ、実はさ…
子供って苦手なんだよな。

だから、まだ2人だけでいいってゆうかさぁ。」




司は口ごもりながらもごもご言っている。



「いらないって事?
司は嬉しくないの?
私達の赤ちゃんなんだよっ!」



「嬉しくないってゆうか…。」



司のあんまりな態度に、苛立ちよりも段々悲しさが募っていく。



「だって、そうゆう事でしょ。

あたし、司も喜んでくれると思ったのに…」



さっきまでの幸せな気持ちも、どこかに吹っ飛んで、一生懸命作ったごちそうも急に色褪せて見えた。



「そんな事言われるなんて思わなかったよ。

あたし、司が何考えてるかわかんないよっ!」



司にそう言い捨て私はリビングを飛び出し、寝室のベッドに潜り込み声をあげて泣いた。




あんな事言うなんてひどいよ。


司は嬉しくないの?

あたし達の赤ちゃんなのに…



凄くショックだった。


司に裏切られた様な気がした。



暫くすると、部屋のドアを遠慮がちにノックする音。



私は慌てて頭から布団をかぶる。

< 4 / 202 >

この作品をシェア

pagetop