ぬくもり
「美沙、ごめん。
ちゃんと話合おう。」



司がベッドの脇に腰掛けたのが、振動を通じてわかった。


私は布団を押さえている手を、固く握りなおす。



「話す事なんてないよ。
司は赤ちゃんいらないんでしょ。」



私はピシャリと言い放つ。



「いらないって訳じゃないよ。

子供が苦手っていうのはあるけど…まだ、2人でいたかったのもあるし…。

けど、1番大切なのは美沙の気持ちだから。」



司の言葉に布団を握りしめた手が緩む。


「ほんと?」



司の言葉に、私は頭からかぶっていた布団から目だけを覗かせる。



「本当だから、ちゃんと顔出して。」



私は涙でグシャグシャなまま顔を出した。



「不安にさせちゃったな。
ごめん。」



司が、私の頭をクシュクシュする。



「腹減ったし、メシにしよう。
おいで。」



司が私の手を引いてリビングに連れて行く。


仲直りの乾杯。



「本当に産んでもいいんだよね?」



まだ不安の消せない私は、もう一度司に確認する。



「美沙は産みたいんだろ?」



私はコックリと頷く。

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