ぬくもり
弟?らしき子の手を引いて行ってしまう。



その子の些細な優しさで、いつもよりほんの少しだけ、心がかるくなった私がいた。



誰かに優しい言葉をかけてもらったのはどれぐらいぶりだろう。

この何年か、人の優しさに触れた事なんてなかった。


私の生活には、司と優しかいなかったから…。



少し肌寒さを感じて、優の手を引き家に戻る。


帰ってきて早々に、グズグズし始める優に苛立ちが募る。


「もう、いい加減にしなさい!!」


優の頬をぶつ。


優の目からは、たくさんの涙の粒がこぼれ落ちる。


優はしゃがみ込み、手で頭を抱え泣き崩れる。


自分の腕の小さな隙間から、私の事をうかがっている。



私の虐待に対する、自分の身を守るかのようなポーズ。



私は、まだ2歳の子供に何て事をさせるんだろう…。

この小さな子をどこまで苦しめてしまうんだろう…。


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