ぬくもり
「あっ!
優ちゃん笑った!!」



「本当だね。
凌君の言った通りだね。」



涙がでてくるのを我慢する。
いつもの涙とは違う涙。



なんていうか…きっと赤ちゃんを産んだお母さんが流すような涙。



初めて、優の母親になれたような、そんな気がした。



優の母親になりたいと、この時私は本当に、そう強く思った。



心の底から、初めてそう願った…。



お昼のオムライスを4人で食べて、お腹がいっぱいになった優と翔君は、眠ってしまう。



「凌君も、お昼寝してもいいんだよ。」



「僕は翔達みたいな子供と違って、お昼寝なんてしないよっ!」



プウッとほっぺたを膨らませる凌君。


すぐムキになる姿が可愛らしくて、思わず笑ってしまう。



「ごめん、ごめん。
お兄ちゃんだもんねぇ。
でも、凌君は本当に良いお兄ちゃんだよね。

いつも、ちゃんと翔君の面倒をみて。

翔君もちゃんとお兄ちゃんの言う事聞くから可愛くてしょうがないでしょ。」



「うん。
今は凄く可愛いよ。

けど僕、前は翔の事が大嫌いだったんだよ。」

< 63 / 202 >

この作品をシェア

pagetop