ぬくもり
「司は元気だった?」


慌てて話を変えるかのように彼女は言った。



「うん。
変わりないよ。
幸代は今どうしてるんだ?」



「前と対して変わらないような仕事。
またアシスタントで失敗ばっかりだよ。」



「そっか。
幸代がドジして謝ってる姿が目に浮かぶよ。」



「ひっどいなぁ。」



俺を肘で小突きながら、屈託なく笑う彼女の姿にホッとする。



「あっ!
あたし、そろそろ行かなきゃ!」



腕時計に目をやり、腰を浮かしかけた彼女の腕を、俺は無意識のうちに掴んでしまっていた。



「司…?」



彼女の動きが止まる。



「司、何かあった?」


心配そうに俺を見つめる幸代。

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