ぬくもり
「ごめん。
なにやってるんだろうな、俺。」


慌てて捉えていた幸代の腕を離す。



自分の行動が恥ずかしくなる。



幸代だって、今は幸せにやってるかもしれないのに…。



また彼女に甘えようとしていた。


うまくいかない家庭の逃げ場の代わりに…。



「これ、新しい番号とアドレス。」



彼女が鞄からメモ帳をだし書いて渡してくれた。



「あたしでいいなら話くらいいつでも聞くよ。
じゃ、あたし友達と約束だから行くね。」



「俺は、番号もアドレスも変わってないから!」



彼女は小さく頷き、軽く手を振り歩いて行った。

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