ぬくもり
優の人見知りもすっかり直り、今では、翔君や凌君以外のお友達もできて、毎日楽しそうに遊んでいる。



買い物の行き帰りすれ違う人達や、スーパーの店員さんにまで、ニコニコで『ばいばーい』と手を振り続ける愛想の良さ。


連れて歩いている私が、恥ずかしくなるほどだった。



そんな天真爛漫、自由奔放な優が、司にだけは萎縮してしまう。



私達の絶える事ない争いを見てきたせい。



私は少しでも、司と優の距離を埋めようと必死だった。



「優、パーパ、言ってみて!
パーパ!」



私は優が司を『ぱぱ』と呼ぶように練習を始める。



「ん?」



「パーパだよ。
優!パーパ。」



私は、優に何度も『パーパ』と繰り返す。

< 88 / 202 >

この作品をシェア

pagetop