ぬくもり
失望
「行ってらっしゃい!」



会社に行く司を玄関まで見送った後、いつもの様に家事にとりかかる。


忙しそうな私に、優が遊んでくれとまとわりつく。



「優、洗濯とお掃除が終わるまで、これ見ていい子にして待っててね。」



私は優のお気に入りのビデオをセットする。



優は素直に『あーい!』と返事をして嬉しそうにビデオを見始めた。



私は寝室に行き、洗濯する枕や布団のカバーを外す。



あれっ?

司の携帯…忘れていったんだぁ。



司の携帯を手に取る。



過去の苦い記憶が蘇る。



見たい…
でも、また…



私は不安な暗い気持ちで携帯を手にしばらく悩んでいたが、携帯を元に戻し、洗濯物を抱え寝室を出る。



洗濯機を回してる間に、掃除機をかけていると、部屋の電話が鳴りビクっとしてしまう。



不安な気持ちがこんなにも、ビクつかせてしまうのだろうか。


私は暗い気持ちのまま受話器をとった。
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