ぬくもり
優がテーブルの上においてあった豆腐に手を伸ばす。

アッと思った瞬間には、豆腐はベシャッと床に落ちていた。


「だから駄目だって言ったでしょ!」



私は叫ぶように怒鳴り声をあげ、優の頭の上につくった拳を振り下ろす。


イライラしているせいか、必要以上に入ってしまう力…。



優を虐待していたのと同じ感覚にとらわれドキッとした。



優がひときわ高く泣き出した時、私が優に拳骨した額の生え際から血が滲み出している。



うそっ…血…



よく見ると優の額の生え際は傷口がパックリと開いている。


私の中指の指輪の間からも赤黒い血が滲んでいた。

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