田舎に行こう
「奈津、会ってみたら?
 奈津のお父さんと」
隆史は優しく微笑みながら
そう言った。

そして自分の母親の話をしてくれた。
「俺のオカンはさぁ、昔っから
 体弱くて、物心ついたころから
 オカンはいっつも入退院を
 繰り返してた。
 今も、入院してるんだけどね。」

「オトンはさぁ、親戚なんかから
 体の弱い嫁なんて別れてしまえって
 何度か言われたみたいでさ・・・
 でも、いつでもそばには
 いれなくても、やっぱり
 オトンはオカンのことを必要と
 してたんだと思うんだ。」

だから、奈津の父親と母親は
今やっとなんの障害もなく愛し合えるって
ことはいいことなんじゃないかと
隆史はそう言った。

「まぁ、決めるのは奈津だからな。
 ゆっくり答えを探してみな!
 俺の意見は参考までに・・」
そう言って隆史はにかっと
笑った。
< 132 / 148 >

この作品をシェア

pagetop