田舎に行こう
「俺、奈津のこと好きすぎて・・
 ずっとひっついときたい」
そう言ってぎゅっと力を込めた。

隆史の声が耳元で聞こえた。
奈津は高鳴る心臓と顔が
熱くなるのを感じていた。

奈津はゆっくりと振り向いて
隆史の顔を覗いた。
隆史は切ない顔をしていた。
一重だけど大きな瞳と
鼻筋がとおった鼻。
大きな口。
愛しかった。
奈津からゆっくりとキスをした。

隆史もそれを受け入れ
深い深いキスを何度も何度も
繰り返した。

奈津はこのまま隆史に
身をゆだねても良いと感じていた。

隆史も奈津を求めていた。
でも、奈津のことを大事にしたくて
それ以上は求めなかった。
それは奈津の気持ちがまだ、
隆史が奈津を想う気持ちほど
自分に向いているわけではないと
感じていたから。

< 144 / 148 >

この作品をシェア

pagetop