田舎に行こう
「それでね、このお家はそのころから
 建ってて・・・
 子供ながらに憧れたわ~」

そこまで話して、ビールをぐいっと
飲み干した。
よっぽどうれしいのか今日の
お酒のペースはとっても速いと
奈津は思っていた。

「ほら、こないだ、ママが同窓会に
 行ったのは覚えてる?
 そこでね、初恋の人と再会したわけ」
そういえば、先月に中学の同窓会に
行くと言って・・出掛けていたことを
思い出した。

ここまでの話は、なんだかとっても
乙女ちっくで感動すらしていた奈津だったが
この先はどうも、嫌な予感がしてきた。

「それでね、なんていうの?!
 焼けぼっくりに火がついたっていうかぁ~
 意気投合しちゃってね~」

「まさか・・・その人のせいで
 引越し決めたって訳じゃないよね???」

「うふふ。そのまさかよ!」
乙女のような表情で、うれしそうに
返事をしてきた。

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