田舎に行こう

ドキドキ

家に帰る道を自転車で走りながら
ずっと彼女のことを考えていた。

隆史はテレビでいつも見てる
女優さんを見たような気持ちだった。
それほど、彼女はきれいだった。

こんな田舎では、決して見ることのない
雰囲気が彼女にはあった。
今までこの田舎から修学旅行以外で
出ることもなく生きていた。
同級生はみんな幼稚園から一緒で
女として見たこともなく
1番仲のよい女友達で
幼馴染の弘美にも、もちろん
そうだった。

みんな兄弟のようで、友達で、
家族にも似た存在で
そんな環境で育った隆史には
今日見た彼女は、
そのどれでもないと思えた。

ドキドキが止まらず・・・
どんどん膨らむ思いに
隆史はまっすぐ家に帰る気分になれず
寄り道することにした。

『はぁ~オヤジにまたどやされるなぁ』





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