田舎に行こう
奈津の席の横には朝、見かけた
女の子がいた。

かわいらしいその子は
奈津にニコニコしながら
話しかけてきた。

「私、弘美。よろしくね」
奈津も笑顔で答えた。

「高科さんって大人っぽいよね」
と弘美は続けた。

「奈津でいいよ」
大人っぽいとはよく言われるが
自分ではよくわからないので
それについては何も答えなかった。

始業式が行われる体育館まで
弘美と行くことにした。

一人ぼっちはとりあえず
まぬがれたことに安心した奈津は
これからあと2年過ごすこの
クラスの人達を始業式の間
観察した。


< 42 / 148 >

この作品をシェア

pagetop