田舎に行こう
学校ではニヤけたり真っ赤になったり
せずに、話もできるようになったが
こうやって外で会うと緊張した。

隆史はあまりの緊張で
気付かなかったことにしようかと
弱気な思いもあったが
すでにばっちり目が合ってしまって
奈津は手を振っていた。

奈津は隆史の姿を見つけて
手を振った。

彼はなんだかキョドっていたが
奈津からすれば、隆史は
テレ屋だからいつものことと、
片付けていた。

「電車来なくて、まいってたんだぁ」
奈津は隆史に話はじめた。

「あと30分は来ないよ。
 どっか行くの?」
隆史は意を決して奈津とこの時間を
過ごすことを決めた。

「うん、町まで。
 久々の買い物だよぉ」
うれしそうに奈津は答えた。

その笑顔がまぶしくて
隆史はじっと見つめた。

 
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