田舎に行こう
そう言い切って隆史は奈津の
手をとって逃げることにした。

奈津は驚いた顔のまま
あっくんに背を向けて
隆史と共に走り去った。

あっくんは驚いた顔のまま
2人の背中を見送った。


だいぶ走ったところで
逃げる必要はないということに
隆史は気付いた。
もぅ少し奈津の手を握っていたかったが
さっきの勢いの告白を
思い出して、恥ずかしさのあまり
奈津の手を離して立ち止まった。

なんと言い訳しようが、きっと
それは言い訳にしかならないようで
言葉が出てこない隆史。

息切れしながら奈津が笑った。
「あいつ、超ビビってたよね、
 隆史の迫真の演技に・・・
 あの顔、超うけるぅ」
奈津は楽しそうに笑った。

『俺の告白は迫真の演技ってことに
 なったのね』
少し安心した気持ちと、少し寂しい
気持ちになった隆史も
一緒に笑ってごまかすことにした。

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