田舎に行こう
気付いていないと言えば嘘になる。

奈津の返事を待たずに
幸太郎は続けた。
「俺が言うのもなんだけど・・・
 隆史はさぁ、奈津が引っ越して来た時に
 ひと目惚れしたらしいよ」

「まぁ、弘美のこともあるし・・・
 女の友情ってのもあるからね~
 難しいとこだけど・・
 いつまでも知らん顔ってわけには
 いかねぇんじゃねぇ?」

「はっきりしない隆史が1番悪いけどね」
と言って幸太郎は笑った。

奈津は自分のことをあの日から
想ってくれてる隆史のことを
考えた。
隆史が自分のことを想ってるってこと。
いつも真っ赤になる隆史。
はにかんだ笑顔。
あっくんに強く言ってくれた隆史。
自転車で迎えにきてくれた隆史。

「ぶっ」
難しい顔で悩む奈津を見て
幸太郎が吹き出した。

「まぁまぁ、そんなに一気に
 色んなこと考えずにさぁ。
 弘美がいるから・・・って最初っから
 見ないようにしちゃわずに、
 奈津は奈津の気持ちを大事にしな」

そう言って、幸太郎は立ち上がった。

「そうだね」
と奈津も返事をしてまたロッジに
向かって歩き出した。
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