田舎に行こう
隆史は心を決めていた。

「高科・・・」
声をかけてちょっと座ろうと
誘った。

「今日はみんなに休憩誘われるなぁ」
と奈津は笑った。
昼間に幸太郎とも座って話したと
説明すると隆史は笑って、
じゃぁと言って歩きながら
話すことにした。

奈津としては立ち止まらずに
早くロッジに戻りたい気持ちがあった。
弘美に勘ぐられるのが
いやだったからだ。

ゆっくりと並んで歩いた。

「俺さぁ・・・」
隆史が口を開いた。
そこで区切って、どう話そうか
悩んでる様子だった。
奈津はじっとだまって待っていた。

「前に買い物行ったときのこと
 覚えてる?」
奈津はうなずいた。

「あのときに俺が言ったこと
 覚えてる?」
奈津はまたうなずいた。

「あれ・・・本気だから」
そう言って、隆史は奈津を見つめた。
そこで、あっと言った。
「あれとか言って、俺ずるいな・・・
 ちゃんと言うよ。
 俺は高科のことが好きです」

そこまで話して隆史は微笑みながら
奈津を見つめた。
奈津も隆史の目を見つめた。
目をそらすことができなかった。

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