向日葵の天秤が傾く時
支店の経理部門に大卒で入行した巫莵。


最初の1年は順調に仕事を覚えこなしていたのだが、当時支店長であった蛞拓が一目惚れしたことにより状況は一変する。



「瀑さんの私へのあからさま言動が先輩達の耳にも入ってしまって、それが引き金となったみたいで職場の雰囲気が……。」


「支店長に取り入ってると思われてしまった訳ですか…。」



「はい。その後1年経って瀑さんが本部の部長に栄転するのを機に、私も本部の秘書室に異動になりまして、瀑の秘書をすることに。瀑さんのアプローチと周囲の噂は絶えませんでしたが、瀑さんが常務に昇進してからは、ますます……」


「酷くなったと。…身勝手なパワハラにセクハラ……、どちらも許せませんね。」



同じ女を冒涜するようなデマまで流れ、貶めようとする狂気の思想に駆られた名も無き集団は、何の疑念もなく暴走していく。


滂沱たる愛を以て相まったのは、惨憺たるイジメの現実。



大変許しがたいのは確かだが薔次に浮かんだ疑問、それは。



「失礼ながら、お辞めになることは考えなかったのでしょうか?いくら就職が簡単で無くなった時勢とはいえ、続けるのは心身共によくありませんから。」
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