向日葵の天秤が傾く時
「衢肖さん!」


「篁さん。どうしたんですか?」



息を切らして追い掛けて来た卿焼を何事かと巫莵は驚く。



「はぁはぁ、はぁ。あの、言いたい、ことがあって…」


「とりあえず、落ち着いてからで大丈夫ですから。」



全力疾走だったのか言葉が途切れ途切れになる。


巫莵の言葉に甘えて、息を整えてから巫莵を見た。



「衢肖さん。」


「はい。」



培い秘めたアンクレットに誇りを詰めて、


皆から得た評価をマントの様に纏い、



自信を結果に変えたいと祈りグレードは加速する。



「俺は衢肖さんのことが好きです。明るくて笑ってる姿が俺の癒しだった。今回過去を知って男が怖いと思ってるかもしれない、所長以外の男には失望してるかもしれないと思った。だけど、衢肖さんには笑ってて欲しいから、ちゃんと知って欲しいから。俺と少しずつでいいから、食事したりどこか出掛けたりしませんか?俺も試験を理由に向き合って来なかったし、前提としては付き合うってことでお願いします!」



俺の女だ発言を巫莵が覚えているかは定かでは無いが、覚えていないことを願って伝える。



淡い想いが濃くなって消せないことを。
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