拝啓、マリア様
僕はいつの間にか
マリア様の絵の前で眠っていた。
シスターがかけてくれたであろう
ブランケットをどかす。
僕はマリア様に手を合わせた。
「親愛なる母よ
マルクスの痛みを
分けてくださいませ
マルクスが辛かったことを
分けてくださいませ
母よ 僕をどうか
お役立てくださいませ」
僕は頭を地面につけた。
その時だった。
『ヒヒッ 悪い子だなエイミー』
教会に響く声。
「誰だ!」
『こんな時間まで何してるんだ?』
コツ コツ と 足音を立て
ロウソクが近づいてくる。
何やら良からぬ予感がし、
寒気がする。
「名を名乗れ!」
僕は護身用に持っていた、
果物ナイフを手に持った。
『ヒヒッ
糞餓鬼が そんな物で
殺せると思ってるのか』
声は耳元から聞こえた。
「な!」
ふと前を見ると、
ロウソクは無くなっていた。
振り返ると黒い男が立っていた。
その男は僕の果物ナイフを
いとも簡単に折り曲げて見せた
『孤独なエイミー
唯一心の許せる友人に
先立たれ エイミーは1人だ』
その男は僕を見透かすように話す。
「貴様に何がわかる!
貴様は誰だ!」
僕はランプを手に取り後ずさる。
『エイミー 気を張るな
もうすぐ君は眠ってしまう
目が覚めた時 もう一度会おう』
その男は僕の目を触る。
瞬きをした 瞬間
僕は夢の中へ落とされてしまった。