拝啓、マリア様



「母よ…どうか見守りたまえ…」



ギルバート
『早く寝ろって言っただろ?
糞餓鬼が。』



僕がヤツの元に行く前夜だった。



僕は最後に母に祈りを捧げていた



「もうマリア様の前で
お歌を披露する事は無いのですね」



無性に寂しくなる。




ギルバートは後ろで
また ヒヒッと笑った。



ギルバート
『お前は見捨てられたのだよ
唯一の母 マリアに。』



だからお前は俺の元へくる



ヒヒッ



とまた笑って僕の首根っこを掴む



ベッドの上に放り投げ

ランプを消した。




僕はギルバートが
立ち去ったのを見計らって
月に向かってお祈りをした。



月明かりが部屋を照らす。




ふと窓の外を見ると
そこには神父様の姿があった。



月明かりのおかげで
影ができていたのだが
その影がどうも変なのだ。


何故か神父様の影に羽根が生えている



何度目をこすっても
その影は消えない。



神父様



声をかけようとした時
誰かがやってきた。



ゾゾッとまた寒気がした。



ギルバートだ。



しかも奴は 飛んでいた。


背中には羽根が生えていた。


しかも
絵でよく見て覚えた
悪魔の翼だった。

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