悪魔に恋わずらい
(決着……?)
『気づいてた?あんた達かれこれ10年以上ボタンを掛け違えたまま、ここまで来ちゃってるんだよ?』
「わかってる……」
流れた月日の長さを指摘されると何も言えなくなってしまう。
『ということで、そろそろ本気であのプチストーカー男を駆除できるように頑張りな』
樹里は無責任にそう言うと、一方的に電話を切ってしまった。
「はあ……」
課せられた責任の重さに思わず電話を放り出して、テーブルに突っ伏する。
(決着かあ……)
口で言うのは簡単でも、実行に移すのは難しい。
私は封印していた記憶を紐解くように、本棚に立てかけてあったアルバムをめくった。
そこには数々の想い出の写真と共に、制服姿の私と累くんが無邪気にピースサインをしている写真が貼りつけてあった。
私が“明石累”の存在を最初に認識したのは中学2年生の冬のことだった。