悪魔に恋わずらい
「累くん!!」
「あれ?どうしたの石崎さん。そんなに慌てて……」
部活動に所属していない累くんは卒業式が終わるとただひとり教室の中で本を読んでいた。
「正直に答えて……」
何がなんだか今でもよく分かっていない。それでも確かめずにはいられなかった。
「累くんが……手紙を破いたの……?」
……お願い。
間違いだって言って?
手紙を見つけたのは偶然なんだよって。
(お願いだから!!信じさせて!!)
累くんは読みかけページにしおりを挟んでパタンと本を静かに閉じた。
そして……。
「そうだよ?僕がやったんだ」
……悪びれもなく笑ってみせたのだ。
(ああっ……!!)
衝撃のあまり膝から力が抜け、その場に崩れ落ちてしまう。
絶望と悲しみが雪崩のように押し寄せてきて、心が悲鳴を上げている。
もう、頭がぐちゃぐちゃで何も考えられそうにない。
「どうしてっ……!?どうしてそんなことしたの!?」
涙が堰を切ったように止まらなくなる。
「そんなの決まっているじゃないか」
累くんは私の顔を指で持ち上げると、これまで聞いたことがないほど冷たい声で言った。