悪魔に恋わずらい
「見ーたーわーよ!!」
一連の流れを目撃していた神田さんが目をランランと輝かせながら話しかけてくる。
「ねえねえ。今朝、明石くんと一緒に出勤してきたでしょ?」
私は思わず飲んでいたお茶を吹き出してしまいそうになった。
細心の注意を払ったつもりだったけど、見られていたのか……。
ゴホゴホと咳き込んでいる様子を見て、神田さんは更なる追い打ちを掛けてくる。
「ただの友達っていうのも、怪しいなあ」
「ち、ちが!!」
社内ゴシップを期待されても困る。
だからといって私と累くんの関係性のややこしさを説明する気は毛頭ない。
誤解しないでと、非難するように睨むと神田さんの方が先に折れた。
「まあ、正直もうちょっと気を付けた方が良いよ?私以外にも何人か目撃者がいたみたいだから」