悪魔に恋わずらい
「累くん、一体どういうつもり?」
助けてくれたのは感謝するけれど、助け方には文句を言いたい。
(僕の大切な人って……)
捉え方によっては友達以上、それも恋人同士のようにも聞こえる。累くんがあえて誤解を招くような言い方をしたのは明白である。
「石崎さんは僕の大切な人さ。今も、昔も……」
「そういうのいいから。誤解をといてきてくれる?」
お姉様方が本気を出したら、明日には会社中の人間に知れ渡ってしまう。
社内の女子社員全員から白い目で見られるのは嫌だ。
「えー!!いいじゃん、そのままで。邪魔者も寄って来なくて一石二鳥だし」
常々感じていたが累くんは私の周りにいる男性を、虫けらか何かだと思っているきらいがある。
「累くんは良くても私は良くないの!!」
「あはは」
頬を膨らませ不満を訴えると、弾けるような笑い声が降ってくる。