悪魔に恋わずらい
累くんが連れてきてくれたのは、雑誌でも紹介されている落ち着いた雰囲気のフレンチレストランだった。
テーブルに置かれたキャンドルライトが揺れる度に、累くんが優しく微笑みかけてくれる。
ファミレスやファストフード店とは違う。
私達はいつの間にやらオシャレなレストランで食事をとるような年齢になってしまったのだ。
「乾杯」
「乾杯」
グラスを合わせると、くすぐったい気持ちになる。
評判通り食事はとっても美味しかった。どちらかといえば私に対するご褒美のようだった。
このまま何事もなく終われば申し分のない夜となったのに……。
一波乱起こったのは食事が済んでからのことである。