悪魔に恋わずらい
『どうしたの?』
呼び出し音がワンコールも鳴らない内に、電話を取ったのはさすがとしか言いようがない。
「助……けて……」
『……すぐ行く」
先ほどアパートの階下まで送ってもらったばかりだったせいか、累くんは5分も経たない内にやって来た。
「累、く……」
「大丈夫、落ち着いて。今、警察を呼ぶから」
宥めるようにポンポンと背中を叩かれると、緊張していた身体が解けた。
累くんが来てくれただけで、とてつもない安心感がある。
部屋の惨状を見ると事態を把握し、迅速に警察を呼んでくれた。
私は警察が到着するまで、彼の腕の中で震えていた。