悪魔に恋わずらい
「呆れた。弟なわけないじゃん。あんたの隣で寝てるのは野獣!!獣よ!!襲われたらどうするの!?」
「もう!!そういう言い方やめてよ!!累くんに限ってそういうことはあり得ません!!」
中学生の時から数えて5年。
私達の仲が男女の色恋沙汰に発展するようなことは一度としてなかった。
累くんにとって私はおもちゃ。
手に入らないからいつまでも執着しているだけで、決して恋愛対象ではないのだ。
「というか、累くんにそういう性欲?みたいなものがあるなんて想像できないよ」
手を繋ぐでも、キスをするでもなく、ただ寄り添うように傍にいる。
私と累くんの間にあるのはもはや老夫婦のような、老成した親愛に近い友情なのでは?
「じゃあ、試してみる?」
樹里は試すような意地の悪い笑みを浮かべて、私に耳打ちをするのだった。