悪魔に恋わずらい

部屋の中にテレビはなく、ベッドとデスク、それと壁面収納一杯に本が陳列されている。

本棚のそこかしこに学生時代、累くんから借りたことがある懐かしいタイトルを見つけて嬉しくなる。

……っと、いまは思い出に浸っている暇はない。

ようやく目的を思い出すと、手始めにクローゼットの中を探す。

しかし、クローゼットの中は衣類がほとんどで、目ぼしい物は見当たらない。

(……ないなあ)

クローゼットの他にも、ファイルケースの中、ベッドの下、デスク脇のチェストと、怪しい所は全て調べてみたが、樹里の言うような物は見つからない。

(なによ……。結局、出てこないじゃない)

樹里の掌で踊らされたようで、段々とバカバカしい気持ちなってくる。

あと、探してない箇所といえばデスクに備え付けてある鍵付きの引き出しだけである。

(開くかしら……?)

引き出しに手を伸ばしたその時だった。

パチンと電灯のスイッチが押され、天井から光が溢れてくる。

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