悪魔に恋わずらい
「累くん!!いるんでしょう?」
上の階に住んでいるという累くんの部屋のドアを少々乱暴に叩く。
しかし、叩いてもインターホンを押しても一向に返事がない。
留守なのか確かめるようにドアノブを捻ると、実に簡単にドアが開いた。
(鍵が空いてる……?)
恐る恐るドアを開け話すと驚きの光景が目に飛び込んでくる。
「い、しざきさん……」
「累くん!!」
累くんは床にうつぶせになって倒れていた。ドアまで這い寄ろうとして途中で力尽きたようだ。
「大丈夫!?もしかして本当に具合が悪いの!?」
累くんに駆け寄ると、おでこに手のひらを当てる。
熱はないようだがグレーのスウェット越しに大量の汗をかいているのが分かった。
「立てる?」
左の脇の下に頭を潜らせ上体を起こそうとしたが、びくともしない。重いっと歯を食いしばって踏ん張るが持ち上がらない。
「石崎さん……っ……!!」
「きゃ!!」
それどころか、逆に床にひっくり返されて累くんにのしかかられてしまう。これが噂の床ドンというやつか?