悪魔に恋わずらい

「まだ誰とも結婚してないなら、俺とかどうよ?」

「え!?」

からかわれていたと気がついたのは先輩が悪戯心丸出しでニシシと歯を出して笑っていたからである。

「なんてな。彼氏ぐらいはいるんだろう?」

酔っているとはいえ好奇心剥き出しの質問を浴びせられてはこっちだって返答に困る。

「いませんよ……」

っていうか、いたことありません。

言わずもがな、恋のチャンスはことごとく累くんに潰されてきたからである。

「マジ……?」

先輩は急に真顔になると確認するように何度も何度も事実かどうかを尋ねてきた。

正直にそうだと答えると、今度は携帯を手にする。

「石崎……連絡先教えてもらってもいいか?」

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