悪魔に恋わずらい
「石崎がホラー映画平気なタイプとは意外だったな」
「基本的に映画は何でも見ますよ」
座席に座って全員が同じスクリーンを眺めるあの独特の雰囲気が好きで、映画館には足繁く通う方である。
(累くんともよく行ったなあ……)
……正確には後をつけられたってだけだけど。
ストーキングするのに映画館ほど不都合な空間はない。
あとから、おずおずと隣の席に並ぶ累くんにちょっと意地悪するつもりでホラー映画ばかりを選んでいるうちに、いつのまにか平気になっていた。
「石崎?どうした?」
いつまで経ってもジュースを受け取ろうとしない私を不審に思った先輩が、ん?と首を傾げている。
「な、何でもないです!!ジュース頂きます」