悪魔に恋わずらい

(やだ……)

先輩と一緒にいるのに、上の空になって累くんのことばかり考えている。

だが、それは仕方ないのかもしれない。

これまで、累くん以外の人とデートらしいデートをしたことしたがないからだ。

その上、彼のエスコートはスマートで文句のつけどころがない。

扉は必ず先に開けてくれるし、お会計の類もさらっと支払い終わってたりするし。

最後にはこちらが引け目を感じない程度の金額の物をさりげなくプレゼントしてくれる。

(今は映画に集中しなきゃ……)

ジュースをずずっと啜っているうちに、ブザーが鳴り上映が始まる。

しかし、集中しなきゃと思えば思うほど、余計にどつぼにはまって映画の世界に入り込むことが出来なかったのは言うまでもない。

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