悪魔に恋わずらい
「先輩……私……」
ごめんなさいと謝ろうとすると、その前に先輩の言葉に遮られた。
「実はずっと後悔してたんだ。中学生の時、石崎がくれた手紙を環奈に捨てられてなければって……」
環奈って……結婚式の二次会に呼んでくれた環奈?
先輩の口から突然手紙の話が出てきて思わず聞き返す。
「待ってください……。どういう……意味ですか?何で環奈が……」
「俺達、中学生の時に付き合ってたんだ?知らなかったか?」
知らなかった……。
環奈は昔から男性に対して積極的な子ではあったけれど、先輩と付き合っていたなんて。
「卒業式の後、あいつを問い詰めたんだよ。俺宛の手紙を知らないかって。そうしたら靴箱に入ってたやつは破いて捨てたって、本人が……。まあ、10年も経てば色々ともう時効みたいなもんだけどな」
時効なんてとんでもない。
私にとってあのラブレターはまだ現在進行形の問題なのだ。
もし、先輩の言っていることが事実なら私は……。
「すみません、先輩……!!私、帰ります!!」
「石崎!?」
……とんでもない罪を累くんに押し付けていたことになる。