悪魔に恋わずらい

「嫌だって言ったらどうするの?」

「許してくれるまで待つ」

許されるまで待つなんてまるで本物の忠犬のようである。

いや、よく考えたら10年近くお預けをくらっていても根気強く待っていたので、犬より優秀には違いない。

「でも、きっと石崎さんは優しいからこの期に及んで待てとは言わないよね?」

……その言い方は反則に近い。

くーんと耳を垂らした犬のような表情と相まって、無下に断れないではないか。

「っ~!!悪魔っ!!」

「だって僕、元々そういう男だしね~」

石崎さんも分かってるくせにと、とどめのウインクをもらいとうとう観念する。

「……するなら累くんの部屋がいい」

「仰せのままに。姫」

累くんはそう言うと、私をそのまま抱え上げたまま自室のベッドまで運んでしまった。

一晩中続く睦事の最中、寝落ちしたのは一度や二度のことではない。


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