悪魔に恋わずらい
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「結局、こうなったのね……」
「ごめんね、樹里」
色々と心配してくれた樹里に対して報告が遅れてしまったことは、心の底から申し訳ないと思っている。
「樹里は知ってたの?犯人は累くんじゃないってこと……」
「まあね。ずっと脅されてたのよ、あいつに。紅子には喋るなって」
樹里は忌々しそうにカフェの外で待っている累くんを指差した。
両想いになったからので、隠れて後をつけるのはやめたらしい。
堂々と一緒についてくる権利を与えてしまったのは、早まった決断なのかもしれない。
「紅子、本当にあいつでいいの?後悔しない?」
「う~ん……。どうかな、ちょっと自信なくなってきたかも」
彼の言わずと知れた特技その3であるストーキングはなくなった一方で、10メートル以上離れると不機嫌になる仕様にチェンジしたらしい。
ますます残念なイケメンになっていくようで悲しい。
黙って佇んでいれば、文句なしなのになあ……。