悪魔に恋わずらい
「お待たせ、累くん。待っててくれてありがとう」
いい加減外で待たせておくのも忍びないので、樹里に断って先にカフェから出る。
「半沢さんに報告は済んだ?」
「うん。式には呼んでねって」
樹里からの伝言を伝えると、累くんがくうっと悶えた。
「ウェディングドレス姿の石崎さんなんて、可愛すぎて絶対に誰にも見せたくない……」
独占欲と自慢したい気持ちの間で板挟みになっているらしい。
本当に悩んでいるのか、真顔で言うんだから困ってしまう。
結婚が決まって暴走気味の累くんをどうやっていなしていくのかも今後の課題である。
「心配しなくても大丈夫よ」
……累くんほど私を愛している人はいないんだから。
愛しい、愛しい、悪魔さん。
どうか、未来永劫。
……私のことを離さないでください。
*おわり*