強引上司にさらわれました
容姿端麗で仕事ができれば、ファンがいて当然のこと。
ただ、一緒に仕事をして、その厳しさに耐えられるかといったら微妙なところかもしれない。
事実、私が人材開発課に配属される前には、私のポジションは数ヶ月単位で人が入れ替わっていたらしいから。
まぁ、仕事の厳しさを抜きにすれば、かなりのハイスペックだ。
……それと、寝起きの悪さも差し引いて。
「それで、どうなの?」
「べ、別になにも……」
「怪しい」
しどろもどろの私に、美優は鋭い言葉を投げた。
どうして私は、誤魔化すことが下手なんだろうか。
適当に笑い飛ばせば済むはずなのに。
細められた美優の目の前にうな垂れることしかできない。
それもこれも、自分の心が変な動きをするせいだ。
「実は……」
周りに聞こえないように小さな声で、課長のマンションに転がり込んだことを白状した。
当然、美優の驚きは半端ない。
声も出ないまま目を大きく見開いて、今度は美優がフリーズする番だった。