強引上司にさらわれました
◇◇◇
午後一時再スタートの会社説明会は、午前中に分けたグループごとに早速竹とんぼ作りが始まった。
「玩具メーカーの社員の意地を見せてやれ」
そう言って私たちを鼓舞する課長は、自ら率先して竹を削り始めた。
「ブーメラン竹とんぼを作るぞ」
「ブーメラン竹とんぼ?」
「なんすか、それ」
村瀬さんが繰り返したあと、野沢くんがポカンとする。
「その名の通り、飛ばした人の元へ戻ってくる竹とんぼだ」
「そんなのあるんですか?」
感心して私も聞くと、課長は「まあね」と満足そうにうなずいた。
「学生と同じレベルのものを作るわけにはいかないだろ。いろいろ調べてみた」
「えー? それってズルくないですかぁ? 学生には普通の竹とんぼの作り方をやらせて、俺たちだけ特別なやつって。ぬけがけですよ、ぬけがけ」
野沢くんがチャチャを入れる。