強引上司にさらわれました

朝倉課長とは同期入社のはず。

サラサラのストレートヘアに透き通った肌。
三十二歳という年齢より、五歳は若く見える。
透明感のある凛とした美人だ。

真顔で話していたかと思えば笑い合い、ふたりはとても親密そうに見えた。


「あのふたり、最近ちょくちょく一緒にいるところ見かけるんですよね」

「あぁ、そういえば、私も見たことがあるかも」


野沢くんと美優が、ふたりを見ながらうなずき合う。


「……なんかいい雰囲気。どうみても怪しい」


いい雰囲気、か……。
本当にそう見える。

課長に似合う女性の典型的タイプだ。
恋人同士だと言われれば、素直に納得できる。

そんなふたりを見ているうちに、チクチクと胸が痛み出した。

……やだ、私、どうしたんだろう。
突然襲いかかった体の反応が、すぐには理解できない。
胸を手で押さえてみても、鈍い痛みは治まるどころか増すばかり。

ふたりから目を逸らして俯いていると、美優が「どうかしたの?」と聞いてきた。

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