強引上司にさらわれました
――もしかして付き合っているのは、課長と三田村さんじゃなくて、野沢くんと三田村さんなの!?
行き当たった答えに自分で驚いて、ふたりを交互に眺めた。
「違うってなにがだよ」
「ごめんなさい。私、あなたより七歳も年上だから、結婚しようって言ってくれた樹生の言葉が信じられなくて……」
――け、結婚!?
野沢くんが三田村さんにプロポーズしてたの!?
信じがたい事実に口をあんぐりと開いてしまった。
そのことを知れば、思い当たることはある。
社員食堂で課長と三田村さんを見かけて、野沢くんが漏らした『怪しい』というひと言だ。
今になって思えば刺々しかったし、その前の『あのふたり、最近ちょくちょく一緒にいるところ見かけるんですよね』と言ったのも、嫉妬の匂いがしていた。
あのときの私は自分の気持ちに気づいたところで、野沢くんの反応どころじゃなくて気に留められなかったから。
「それで、今さらどういう用件で?」
「おい、野沢。そんな言い方はないだろう」
課長が野沢くんの態度を改めさせる。