強引上司にさらわれました

「あ、に……?」


――ということは、妹さん!?
うそ、本当にいたんだ。


「すみません、まだ帰っていないのですが……。あ、えっと、すぐに開けます」


まさかの妹さんの登場に、気持ちばかりが焦る。

このマンションはオートロックだ。
解除は……ここかな……。
本体のボタンを押して解除し、妹さんをエントランスから入ってもらった。

部屋のインターフォンがもう一度鳴らされるのを待つうちに、今度は緊張が押し寄せる。
私がここにいることを妹さんになんて言おうか。
突然、見知らぬ女が部屋にいたのだ、ビックリするに決まっている。
どうしようかとオロオロしているうちに、いよいよ「ピンポーン」という音が部屋に響いた。

心が定まらないまま、今度は玄関へ直行する。
開錠して頭を下げて「こんばんは」と言いながら玄関を開けた。
顔をゆっくりと上げて、妹さんを見る。


――え? どうして彼女がここに……?


私たちはそこでお互いに口を半開きにしたまま動けなくなった。

< 157 / 221 >

この作品をシェア

pagetop