強引上司にさらわれました
「ならいいけどさ」
新郎に逃げられた上、妊娠なんてシャレにもならない。
そこで、ふと思い返す。
達也と最後にしたのはいつだったか。
お酒のせいで回らない思考回路をなんとか呼び覚ます。
あれは確か、クリスマス前後だった。
今日は二月二十五日だから……。
うそ! 私たち二ヶ月もしてなかったの!?
結婚を控えたカップルが二ヶ月も?
何年も付き合った末の結婚ならまだしも、私たちはまだ二年足らずだ。
しかも、そのことに今、私も気づくなんて。
ちょっと待って。
そういえば、どうしてクリスマスは一緒に過ごさなかったんだっけ。
幼いころから達也がお世話になっていたおばさんが、倒れたとか言ってたはず。
その流れで、お正月に達也の実家に一緒に行く予定がなくなったんだ。
もしかして、それって舞香ちゃんが絡んでいたの……?
あったじゃないか。
達也の不審な点が。
それなのに私ときたら、そんな影は微塵も感じられなかったなんて。
呑気すぎて、自分で自分に腹が立つ。