強引上司にさらわれました
「でも、かずくんが困るじゃない」
『友達のところにでも行ってもらうから』
「そういうわけにはいかないよ」
美優の彼氏を追い出してまで居場所を確保するなんて、あまりにも身勝手だ。
『部屋が見つかるまでのちょっとの間くらい平気だから。ね?』
美優の言葉が天使の声に聞こえる。
どうしようか途方に暮れていた私に、神様からのお導きが示された。
「……本当にいいの?」
『うん。かずくんはなんとかするから』
「本当の本当に?」
『本当だってば。おいでよ』
そこまで言ってもらえて断るのもおかしな話。
私は美優の言葉に甘えることにしたのだった。