強引上司にさらわれました

「仕事してたほうがずっといい」


ひとりでいたら、ぐずぐず悩むだけ。
それなら、忙しく働いていたほうがいい。

就活が解禁され、私の所属する人材開発課は、この時期から春先の新入社員受け入れまでは一年で最も忙しいのだ。
そんな時期にどうして結婚式をと思われるかもしれないが、それは達也の仕事の都合だった。

彼の所属するトイ戦略室で、一番休みを取りやすいのが二月だったからだ。
彼の都合に合わせたというのに、この仕打ち。
本当にひどい話だ。

思い出すと、またムカムカしてくる。


「泉って、こういうとき思い切りがいいんだよね。男前っていうか」


美優は感心したように呟いた。

< 32 / 221 >

この作品をシェア

pagetop