強引上司にさらわれました

案内された課長の部屋は、エレベーターで上がって右にひたすら突き進んだ角部屋だった。


「おじゃまします……」


玄関を入ると短い廊下があり、その先にあるドアを開けるとリビングが現れた。


「……広い」


思わず声が漏れる。
私が住んでいた1Kの部屋とは確実にレベルが違う。
二十畳ほどのリビングダイニングの右手には、対面式のキッチンがあった。

インテリアはモノトーンで統一されていて、三人掛けの黒いソファがやけに存在感をアピールしている。
そこそこ綺麗に整理整頓されていた。

左手には二つの扉。
その先はベッドルームか。
2DKとは、なんて贅沢な間取りなんだろう。

さすがに大手の玩具メーカーに勤める課長だけある。
いったいどのくらい給料をもらっているんだろうと、つい下世話な想像をしてしまった。


「トイレとバスルームは、玄関から入って左と右にそれぞれある。麻宮は、ここを使ってくれ」


そう言って課長が案内してくれたのは、リビングの左手にあるふたつのドアのうちのひとつだった。

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